皆さんは、SF映画で見たような「未来の世界」を想像したことはありますか?
自動でスイスイ走る車。空をブンブン飛んで荷物を届けてくれるドローン。家にいながら専門医の診察を受けられる遠隔医療。
なんだか、もうすぐそんな世界がやってきそうですよね?
でも、「あれ?思ったより進んでないぞ?」と感じることはありませんか?
「技術的にはもうできるはずなのに、なんで全面解禁されないんだろう?」って、疑問に思いますよね。
ええ、私も現役の社内SEとして、日頃から最先端技術の動向にはアンテナを張っていますが、本当にそう感じる場面が多々あります。
今日はそんな皆さんの疑問に、元・開発現場のSE、そして現役の社内SEである私、綴間チヨノリが、技術的な視点と「使う人の立場」を交えながら、分かりやすくお答えしていきますね。
技術は進んでるのに「全面解禁」されないのは本当です!
結論から言うと、はい、それは本当です。技術は驚くほど進化していますが、社会全体で安心して使えるようになるには、まだいくつかの大きな壁があるんです。
私たちSEから見ても、個々の技術要素はかなり高いレベルに達しています。例えば、私が以前携わっていたシステム開発でも、特定の条件下ならかなり複雑な処理を自動化できるところまで来ていました。
具体例を見てみましょう。
- 自動運転:特定の高速道路や限定されたエリアでは、人間がほとんど介入しなくても走れる車が実用化されています。AIの判断能力やセンサーの精度は驚くほど向上しているんです。
- ドローン配送:決められたルートなら、ピンポイントで荷物を届ける技術は確立されています。災害時の物資輸送など、限定的な状況ではすでに活躍していますよね。
- 遠隔医療:高精細なカメラやセンサーを使って、医師が遠隔地の患者さんの様子を詳細に把握し、診断を下すことが可能です。医療機器との連携もスムーズに進んでいます。
つまり、技術単体で見れば「できている」と言える部分が本当に多いのです。だからこそ、皆さんが「なぜ普及しないの?」と感じるのは当然のことなんですね。
「想定外」の壁!複雑すぎる責任の所在
全面解禁に至らない最大の壁の一つは、やはり「何かあった時の責任の所在」です。これは開発現場にいた頃から、常に頭を悩ませてきた問題でした。
私が開発SE時代、たとえ小さなシステムであっても、「万が一、システムにバグがあって顧客に損害が出たら、誰が責任を取るのか?」という議論は発生します。自動運転や遠隔医療となると、その複雑さは比較になりません。
例えば、もし自動運転車が事故を起こしてしまったら……
- ドライバー(乗っていた人)の責任でしょうか?
- それとも、その車を作った自動車メーカーの責任?
- AIを開発した会社の責任かもしれません。
- いや、センサーを作った会社が悪かったのか?
- はたまた、道路のインフラに問題があったのか?
ドローン配送でも同じです。ドローンが落下して人に当たってしまったら?配送途中の荷物が破損したら?システムトラブルで誤配したら?責任は操縦者にあるのか、機体メーカーか、サービス提供会社か、それともシステム開発者なのか…。
医療となるとさらに深刻です。遠隔医療で診断ミスがあった場合、医師の責任はもちろんですが、診断支援AIの判断ミスだったとしたら?通信トラブルで情報が正しく伝わらなかったら?患者さんの命に関わるだけに、責任問題は非常に重くなります。
私たちがシステム開発でどんなに厳密なテストを繰り返しても、世の中には本当に予測不能な「想定外」の事態が起こります。これはもう「IT現場あるある」と言ってもいいかもしれません。完璧な責任分担のフレームワークがない限り、本格的な全面解禁は非常に難しいのが現実なんです。
「使い手の安心」を阻む、現代社会の規制と法整備
技術が使える状態になったとしても、それを安心して社会で使うための「ルール作り」が追いついていないのも、全面解禁を阻む大きな要因です。
現役の社内SEとして、新しいITシステムを社内に導入しようとすると、必ずぶつかるのが「会社のルール」や「業界の規制」です。一般社会でこれだけの大きな技術革新を導入するとなると、その壁は計り知れません。
考えてみてください。
- 自動運転:道路交通法は、運転を「人間が行うもの」として設計されています。自動運転レベルに応じた免許制度、保険制度、事故時の警察の対応など、法改正すべき点は山ほどあります。例えば、ドイツではレベル3の自動運転が一部で実用化され始めていますが、日本でもそれに合わせた法整備が急ピッチで進められています。
- ドローン配送:空を自由に飛び回るドローンを認めるには、航空法の大幅な見直しが必要です。プライバシー保護の問題、騒音問題、テロ対策といった安全保障上の問題まで、多岐にわたる課題をクリアしなければなりません。地域住民の皆さんからの理解も不可欠ですよね。
- 遠隔医療:医師法や医療機器の薬機法、そして最も重要な患者さんの個人情報保護法との兼ね合いが重要です。診療報酬制度の見直しも必要ですし、「対面診療が基本」という医療現場の長年の慣習とのバランスも考えなければなりません。
もし、これらの規制やルールがないまま新しい技術が導入されたら、逆に私たちは不安を感じてしまいますよね。「危ないんじゃないか?」「個人情報が漏れないか?」と。技術的な進歩だけでなく、社会全体が納得し、安心して利用できる環境を整えるための法整備と合意形成が、今まさに求められている段階なのです。
じゃあ、私たちはいつ未来の技術を「当たり前」に使えるようになるの?
全面解禁にはまだ時間がかかりますが、着実に未来は近づいています。焦らず、しかし着実に、その変化を見守り、後押ししていくことが大切です。
確かに、責任の所在や規制の問題は非常に難しいテーマです。でも、安心してください。技術開発はもちろんのこと、これらの課題を解決するための議論や実証実験が、世界中で活発に行われています。
- 特定の地域や限定された条件下であれば、すでに自動運転タクシーやドローン配送が実証運用され、成果を上げています。
- オンライン診療も、コロナ禍をきっかけに一気に普及が進み、制度改善の議論が活発に行われています。
- 自動運転の分野では、「レベル3(特定の条件下でシステムが運転を担い、緊急時はドライバーが介入)」のように、段階的に解禁を進める動きが主流です。
こうした新しい技術を社会に導入するには、技術者だけでなく、法律家、倫理学者、行政、そして私たち一般市民が協力して、一歩ずつ進んでいく必要があります。私たち社内SEも、日々「どうすればこの技術を安全に、そして便利に使えるようになるか」という視点で業務に取り組んでいます。
未来の技術が「当たり前」になる日は、きっと来るはずです。私たちは今、その変化の最前線に立ち会っているんですよ。焦らず、しかし着実に、社会全体で新しい技術を受け入れる土壌を育てていくことが大切だと私は思います。






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