皆さん、こんにちは! 現役社内SEの綴間チヨノリです。
最近、「DX(デジタルトランスフォーメーション)」という言葉をよく耳にしますよね。新しいツールを導入すれば、業務が劇的に改善される! 生産性が上がる! なんて夢のような話が飛び交っています。
でも、いざ導入してみると「あれ?なんかイマイチ使いこなせてないな…」「結局、前と同じやり方に戻っちゃった…」なんて経験、ありませんか?
そうなんです。実は、世の中には素晴らしいDXツールがたくさんあるのに、それを現場でうまく活用できず、結果として「宝の持ち腐れ」になってしまっている企業が、驚くほどたくさん存在するんです。
今日は、元・開発現場のSE、そして現役の社内SEとして長年ITに携わってきた私チヨノリが、この「宝の持ち腐れ」の真の原因と、その解決策について、皆さんに分かりやすくお話ししたいと思います。
「DXツールは万能薬」という誤解!なぜ導入がうまくいかないのか?
結論から言うと、DXツールは、導入すれば魔法のように全て解決する「万能薬」ではありません。
なぜなら、ツールはあくまで「道具」だからです。どんなに高機能で優れた道具であっても、それを「使いこなす人」がいなければ、その真価を発揮することはできません。
例えば、最新の高性能な調理器具を揃えたとしても、料理人がレシピや食材の知識、そして調理スキルを持っていなければ、美味しい料理は作れませんよね? それと同じで、DXツールも、使い方を知り、それを現場の業務にどう活かすかを考え、実行できる人が必要不可欠なのです。
私がシステム開発会社にいた頃、ツールベンダーの方々は「こんなことができます!」「これだけの機能が詰まっています!」と、ツールの機能ばかりを強調することがよくありました。もちろん、機能は大切ですが、実際に「現場でどう使うか」「どんな課題を解決できるか」という視点までは、なかなか踏み込んで説明してくれません。
そして、現役の社内SEとして、私もこれまで何度も「宝の持ち腐れ」を目の当たりにしてきました。特に印象的だったのは、高額なCRM(顧客関係管理)ツールを導入したものの、営業担当者から「入力項目が多すぎて面倒」「自分たちにとってのメリットが分からない」といった声が上がり、結局はそのツールで商品情報の履歴管理や日報を使ったりと色んなことができたCRMだったこともあり、せっかくの投資が全く活かされず、とても残念な思いをしました。
つまり、ツールだけを導入してもDXは進まず、そのツールを現場の業務にフィットさせ、運用していく「人を介した変革」が不可欠なのです。
DXの「宝の持ち腐れ」を招く「ブリッジ人材」の深刻な不足
DXツールが「宝の持ち腐れ」となる最大の原因は、現場の業務とIT技術をつなぐ「ブリッジ人材」が世界的に不足していることです。
なぜこの人材が重要かというと、この「ブリッジ人材」がいないと、ツールの機能が持つ可能性と、現場の具体的な業務ニーズとの間に、大きな溝ができてしまうからです。結果として、導入したツールは使われない、または効果が限定的になってしまうのです。
「ブリッジ人材」とは、具体的には、「現場の業務プロセスを深く理解しつつ、ITツールの技術的な特性や導入効果、そして活用方法までを分かりやすく説明できる人」を指します。私の経験上、まさに私が今、社内SEとして担っている役割に近いですね。
元・開発現場のSEだった頃は、「もっとユーザー部門が具体的に要件を言ってくれれば、もっと良いシステムが作れるのに…」と思っていました。しかし、今度は社内SEとして現場とベンダーの間に立つと、「ベンダーの説明、専門用語が多すぎて現場には全然響かないよな…」と、両方の板挟みになることがよくあります。
これ、IT現場あるあるなんですが、情報システム部が「これは画期的なツールだ!」と意気込んで導入しても、現場から「こんな機能、必要ない」「入力項目が多すぎて手間が増えるだけ」といった不満が噴出し、結局誰も使わなくなる…なんてことは日常茶飯事です。これはまさに、ブリッジ人材が機能せず、現場とITの間に橋が架からなかった典型的な事例と言えるでしょう。
ある中堅企業では、定型業務を自動化するRPAツールを導入したものの、現場の業務を洗い出してロボットを作るスキルを持つ人が社内に一人もおらず、結局1年間で稼働したロボットはたったの2つ。年間数百万円の投資に見合わない結果に終わってしまいました。この事例も、ブリッジ人材がいなかったために起きてしまった「宝の持ち腐れ」です。
このブリッジ人材こそが、DXを成功させるための「要(かなめ)」であり、彼らの存在がなければ、どんなに高機能なツールもただの「箱」になってしまうのです。
あなたの会社は大丈夫?「ブリッジ人材」を育てる3つのステップ
DXの「宝の持ち腐れ」を防ぎ、導入したツールの効果を確実に引き出すためには、社内でブリッジ人材を育成する取り組みが非常に重要です。
なぜなら、外部のコンサルタントやベンダーに全てを頼るだけでは、長期的な視点でのDX推進は難しく、自社固有の細かな課題解決には限界があるからです。やはり、自社のことを一番よく知っている社員が、その橋渡し役を担うのが一番です。
では、どのようにブリッジ人材を育てていけば良いのでしょうか? 私の経験に基づいた3つのステップをご紹介します。
- ステップ1:まずは「意識」を変えること。「ITは情シス任せ」という考え方から脱却し、全社員が「自分の業務をITでどう変えられるか」「もっと良くできることはないか」を考える意識を持つことが大切です。特に、管理職層が率先して「DXは皆で進めるものだ」という旗振り役になってくれると、現場も動きやすくなりますね。
- ステップ2:現場とITをつなぐ「学習機会」を提供すること。IT知識のない社員向けの「超入門IT講座」や、プログラミング不要で簡単なアプリや自動化ツールが作れる「ノーコード・ローコードツール」の体験会などを定期的に開催するのも良いでしょう。私も社内SEとして、現場の人が「こんなこと聞いてもいいのかな?」と遠慮せず気軽に相談できるような窓口を設け、小さな疑問にも丁寧に答えるように心がけています。
- ステップ3:成功体験を「共有」し、「評価」すること。たとえ小さな改善でも、ITツールを活用して業務効率を向上させた事例を積極的に社内報で紹介したり、表彰制度を設けたりすることで、「自分もやってみよう」という意欲を社内全体に広げることができます。私が過去に経験した事例では、ある新規事業部門の担当者たちが、Webサイトのアクセス者が購買に繋がるまでの導線を分析できるようにデータ分析基盤を用意したら、独学で学び、毎月手作業で作成していた営業実績レポートを効率化したことで、部門全体の業務効率が劇的に向上しました。その成功を経営層にお伝えし、多くの「プチブリッジ人材」が育っていきました。そこからさらにAIを使って自動化もそろそろ成功してるかも?
これらのステップを通じて、社内にブリッジ人材の芽を育て、DX推進の土壌を耕していくことが、これからの企業には強く求められています。
いかがでしたでしょうか?
高機能なDXツールがあっても、それを使いこなせる「人」がいなければ、結局は「宝の持ち腐れ」になってしまいます。しかし、現場の業務とIT技術の橋渡しができる「ブリッジ人材」を育成し、全社員がITを「自分ごと」として捉えることができれば、必ずやDXは成功へと導かれるでしょう。
今日お話ししたことが、皆さんの会社のDX推進の一助になれば幸いです。
それでは、また次回のブログでお会いしましょう!
綴間チヨノリでした。






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